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新BizLabo通信第27号:経営デザインシートに関する一考察(9)持続的イノベーションと破壊的イノベーション

上図は、内閣府公表「知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」に記載されている「価値創造メカニズムの継続・移行のイメージ」です。

 

下図は、クレイトン・クリステンセン著「イノベーションのジレンマ」での持続的イノベーションと破壊的イノベーションの説明図です。

 

よく似ている。。(^^;

 

 クレイトン・クリステンセン著「イノベーションのジレンマ」によると、

・持続的イノベーションとは、製品・サービスの性能を高めるもの

・破壊的イノベーションとは、従来とはまったく異なる価値基準を市場にもたらすもの

と解説されています。

上図でいうと、持続的イノベーションは長い青い矢印の部分で、破壊的イノベーションは赤い短い矢印の部分と理解して差し支えないでしょう。

 

経営デザインシートの応用編テキストでは、(B)欄を作成した後、「ここでいったん今まで考え書き出してきたことをリセットして、未来の自社をイメージしてみましょう。」と、1ページを使って大きなフォントで書かれています。

なかなかインパクトのあるページですが、これめちゃめちゃ重要なんです。

既存の事業はいったん横に置いといて「ポンと飛ぶ」ために、頭の中を「いったんリセット」して、夢中になって未来創りをしてくださいね、ということ。

 

この「ポンと飛ぶ」のがとっても大事です。

 

セミナーやワークショップでこのお話し(ポンと飛ぶ)をすると、必ずといっていいほど「ネジ工場がうどん屋さんをやるという意味なのか」という質問があります。

 

それは、、、業種転換です・・・。

 

ここでいっているのは、価値創造メカニズムの移行(ジャンプ)です。◯年後の顧客が抱えているであろうジョブを解決するための新たな価値提案を創造して、その新たな価値提案をどのように創って顧客に届けるか(=ビジネスモデル)をデザイン(リ・デザイン)し、必要な資源を調達する全体像(ビッグピクチャー)を描く、ということ。

 

なので、もちろん将来ネジ工場がうどん屋さんをやってもいいのですが、将来のうどん屋さんのビジネスモデルが現在の世の中に存在しているありふれたうどん屋さんのビジネスモデルの踏襲or改良・改善だったらあまり意味がないわけです。これって単にレッドオーシャンAからレッドオーシャンBへ移っただけですよね。

そうではなくて、うどん屋さんとして(もはやうどん屋さんの体をなしていないかもしれませんが)顧客にまったく新たな(イノベーティブな)価値やビジネスモデルをデザインするようなイメージですね。

 

・・・となると、当然に既存事業や既存リソース(知的資産等)との関連性が気になる方も多いのではないかと思います。

そりゃそうですよね、ネジ工場とうどん屋さんは、一見すると無関係・非連続です。

でも、この無関係・非連続な2つの事柄に関係性(ビジネスモデル)を見出すことができれば、そのビジネスモデルには新規性が出てくる可能性がありますね。

 

言い換えると「驚くべきCが観察される。もし、Hが真であればCは当然の事柄であろう。よって、Hが真であると考えるべき理由がある。」わけです。

なんか聞き覚えがあります?以前このブログでも取り上げたアブダクションです。

 

「いったんリセット」して「非連続な事柄に関係性を創造する」、これこそがまさにビジネスモデル・(リ)デザイン(再定義)ですね。

これが1枚のシートでカンタンに量産できる経営デザインシートって、すごくないですか?

 

今日はこのへんで。